新型コロナ雑感①:現在患者数を知りたい!

夏の甲子園が中止になるかもしれないというニュースは、元高校球児としては胸に刺さります。
(夏の甲子園、中止へ 高野連が20日にも発表:日経新聞)

 

新型コロナに関しては、さまざまなデータやエピソードが連日報道されていますが(だいぶ食傷ぎみですが・・・)、「現在患者数」という重要な数字がなかなか報道されないことをもどかしく感じています。

 

「現在患者数」は、<現在患者数=累積感染者数ー累積退院者・療養解除者数ー累積死亡者数>で計算でき、要は、現時点での入院中または自宅療養中の患者数のことです。

 

ニュースや新聞でよく見る「累積感染者数」や「新規感染者数」は、およその傾向を知るには役に立ちますが、そもそも検査数の少ない日本においてすべての感染者が捕捉されているわけではないので、あくまでも参考程度の数字にすぎません。一方で、現在感染者数は、病院の負担の程度を知るための重要な数字です。しかし、この重要な数字をニュースで目にすることはほとんどなく、時系列のデータをきちんとまとめているサイトも多くありません。
(チャートでみる日本の感染状況:日経新聞)

 

日本は検査で陽性となった感染者の自宅療養を認めているため、現在患者数の把握が難しくなっているという事情もあるようですが、5月に感染者・死亡者の集計方法が変更されたことで、データの連続性が確保されなくなってしまいました。そもそも、全国の保健所及び都道府県からのデータ集計のシステムにも問題がありそうです。
(厚労省が死者・退院者数など大幅修正:Yahoo News)

 

国や都道府県は、「現在患者数」をしっかり把握したうえで、データを開示してほしいと思います。

 

では、実際に日本の現在患者数はどうなっているのでしょうか?
東洋経済ONLINEのデータをもとに、日本の現在患者数を中心としたグラフを作成しました。

 

日本の新型コロナ関連データ

 

日本では4月初旬から感染が急拡大しましたが、現在は患者が次々に治癒・退院し、現在患者数は確実に減少しています

 

退院・療養解除者数の集計に問題があるため、現在患者数のグラフがいびつな形になっていますが、本来ならば、下の香港のグラフのようにきれいな曲線を描くはずです。感染者数(累積)の増加曲線から数週間後に、退院者数(累積)を表す曲線が、感染者数よりもややなだらかな曲線を描いて追従する様子が見て取れると思います。

ちなみに、香港は、これまでのところ、新型コロナでの死者数は4人のみで、退院率はすでに95%以上となっています。

 

香港の新型コロナ関連データ

 

日本のグラフに戻ると、グラフがいびつでわかりづらいのですが、4月後半には現在患者数はピークを迎えていたのだろうと推察できます。ピーク時に1万人ほどだった患者数は、現在は半分以下になっており、病院の負担も軽減されているはずです。もちろん、各国で報告されているように、散発的な集団感染が発生するようなことはあるかもしれませんが、退院者数がこのまま順調に増えていけば、現在患者数が減少する趨勢が続くと考えられます。

 

夏の甲子園のころには収まっていると思うのですが・・・

 

ちなみに、2003年に中国・香港で流行したSARSの現感染者数(=現在患者数)の推移は、以下の通りです(中国政府発表のデータに基づき作成:元データが見つからず、当時作ったグラフのままです)。SARSの現感染者数のピークは、香港が4月中旬、中国が5月中旬でした。

 

SARS現感染者数(中国・香港)

 

SARS騒動のとき、私は北京に留学中でした。SARSと新型コロナの比較についても、そのうち書きたいと思います。

 

それでは、今日はこの辺で。

 

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