週刊ニュースまとめ(2020年7月5日)

【中国:香港】「香港国家安全維持法」が採択・施行

6月30日、中国全人代常務委員会で「香港国家安全維持法」が採択され、即日施行されました。

●「香港国家安全維持法」のポイント
 
犯罪行為と処罰(第20~30条)

  1. 国家分裂罪:最高刑は無期懲役。武力の行使または武力による威嚇の有無を問わず、犯罪となる。扇動、幇助、教唆、支援した場合、10年以下の懲役。
  2. 国家政権転覆罪:最高刑は無期懲役。扇動、幇助、教唆、支援した場合、10年以下の懲役。
  3. テロ活動罪:最高刑は無期懲役。テロ活動を支援した場合、10年以下の懲役及び罰金または財産没収。テロ主義を宣揚したり、テロ活動の実行を扇動した場合、10年以下の懲役及び罰金または財産没収。
  4. 外国または域外勢力と結託して国家安全を脅かす罪:最高刑は無期懲役。国家安全に関する国家機密の漏洩も含まれる。

他人の犯罪行為を告発した場合、罪が軽減される。(第33条)
 
香港の永住資格を有しない者が、香港の外で本法に違反した場合、本法が適用される。(第38条)
 
本法の施行後の行為に対し、本法が適用される。(第39条)
 
香港政府の管轄権の行使が困難である場合や香港政府が本法を効果的に執行することができない場合、あるいは国家の安全に対する重大かつ現実的な脅威がある場合、国家安全維持公署は、本法に規定する国家安全を脅かす犯罪案件の管轄権を行使する。(第55条)
 
第55条に規定する犯罪案件について、最高人民法院が指定した検察機関が検察権を行使し、最高人民法院が指定した裁判所が司法権を行使する。(第56条)

 

「草案」では明らかになっていなかった部分を中心に整理しました(⇒ 草案のポイント)。
国家分裂罪については、武力の行使、又は武力による威嚇の有無を問わず罪を問われるという厳しい犯罪構成要件となっています。
1日の抗議活動で、さっそく10名が同法違反により逮捕されたと報じられていますが、今後どのように運用されるのかは、今回の逮捕者の起訴・判決の結果を見る必要があるでしょう。
第38条の域外での違反行為にも適用されるという規定には驚きましたが、刑法が国外にも適用されること自体は珍しいことではないようです。構成要件が異なりますし、単純な比較はできませんが、日本の刑法においても、内乱罪や外患罪など一部の罪については日本国外にも適用されるとあります(「刑法」第2条)。
 

【香港:政治】デモシストが解散

香港衆志(デモシスト)の羅冠聡(ネイサン・ロー)党首、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)事務局長、周庭(アグネス・チョウ)常務委員ら主要メンバーが、デモシストからの脱退を表明しました。デモシストは解散しました。羅冠聡氏は、2日の時点ですでに香港を離れたとの情報もあります。
香港民族陣線、学生動源など香港独立を主張する団体は、香港での活動を停止すると発表しました。
 

【香港:デモ】国家安全維持法違反で逮捕者

返還記念日の1日、香港各地で抗議集会が行われました。香港警察は約370人を逮捕。そのうち10人は国家安全維持法違反の容疑。
 

【英米:香港】英米が「香港国家安全維持法」の制定を批判

英国は1日、中国が実施した「香港国家安全維持法」は「英中共同声明」に違反していると批判しました。
ポンペオ米国務長官は、中国政府は「一国二制度」を「一国一制度」に変え、「英中共同声明」及び「香港基本法」が空言であることが明らかになったと述べました。
 

【日中:香港】日本が遺憾を表明

日本の菅官房長官は1日、中国が「香港国家安全維持法」を制定したことについて、遺憾だと表明しました。河野防衛大臣は、「延期になっていた習近平国家主席の国賓来日に関しても、重大な影響を及ぼすと言わざるを得ない」と述べました。
 

【中国:香港】国家安全維持委の顧問に中聯弁主任

中国国務院は3日、国家安全維持委員会の国家安全事務顧問に、駐香港聯絡弁公室(中聯弁)の駱恵寧主任を任命しました。
国務院は同日、国家安全維持公署の所長に鄭雁雄・広東省委常務委員を任命しました。鄭雁雄氏は、汕頭市党委書記だった2011年、「民主の村」として注目を集めた烏坎村事件の処理を担当しました。
 

【ロシア:政治】プーチン大統領の任期を延長する改憲が成立

1日、ロシアで憲法改正の投票が行われ、即日開票の結果、改憲が成立しました。これにより、プーチン大統領が2036年まで権力の座にとどまることが可能になりました。改正憲法は「領土割譲の禁止」を明記しています。
 

【中国:経済】中国PMIが上昇

財新伝媒は1日、中国の6月の製造業購買担当者指数(PMI)が51.2だったと発表しました。前月から0.5ポイント上昇。
国家統計局が30日に発表した製造業PMIは、前月比0.3ポイント上昇の50.9でした。
 

【米中:安保】米中が南シナ海で軍事演習

中国人民解放軍は、7月1日から5日まで、西沙(パラセル)諸島周辺で軍事演習を実施しました。
米軍は4日、南シナ海で「ロナルド・レーガン」、「ニミッツ」の2隻の原子力空母が参加する軍事演習を実施しました。米空母2隻が南シナ海で同時に演習を行うのは2014年以来とのこと。
 

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